文房具屋にて
年配女性の客が入って来た。「ご祝儀袋」の名前が出ないようで、とあれこれ説明してた。説明も、要点をかいつまんでではなくて、実際自分に起こった事を最初から延々話しているので店員さんも汲み取るのに苦労していたようだった。結局、祝儀袋と色紙が必要だったと分かり、無事購入していた。レジでお金を払いながらその女性は
「ここで書いていくから、筆ペン貸して?」
とさらりと言ってのけた。隣で会計していた私は思わず女性を二度見した。
しかし店員さんはすごい、「どうぞどうぞ、ためし書き用のペンをどれでも使って下さい」と笑顔で対応した。それに対して女性は「え、ためし書き用・・・?」と半笑い。いやいやいや、そこ苦笑するようなとこじゃないからね!好意120%だから!「大丈夫かしら?」とか言っちゃってるけどとんでもないな!その後も「うまく書けないわ~」とまるで自宅気分でマイペースな女性にハラハラしつつお店を出た。
すごいのは、その女性はお礼は言うけど「ごめんなさいね」「~しても大丈夫かしら?」みたいなことは絶対言わないのだ。すごい。拒否されないって自信がすごい。「根拠はないけど大丈夫」のボーダーライン、広範囲だな。
私みたいに小さい頃から失敗したら家の廊下に立たされるとか夕飯抜きとかされたことないんだろうなと想像したら、だんだんその女性が羨ましくさえなってきた。・・・あぶない。私が目指すとこは厚顔無恥じゃない。
だけどあの女性、あの年齢でそんな無邪気な振る舞い、ほんとにすげーな、と思った。へりくだる私と足して2で割ったらちょうどいいのにねきっと。